浄土三部経解説<五根、五力、七菩提分、八正道、三明・六神通>

浄土三部経に出てくる極楽浄土の鳥が囁く仏法。つまり浄土論における悟りへの実践的な修行法であり、生活法であるといえる。

【五根】・・・信、精進、念、定、慧の五つの事。仏教の修行において根本的な能力の事。

信は仏教を信じる事。

精進は悪を断ち善行を実践し雑念を払って励む事、具体的には四正勤にあたり、断断(すでに生じた悪を取り除く)、律儀断(まだ生じてない悪を起こさないよう努める)、随護断(まだ生じない善を起こすよう努める)、修断(すでに生じた善を維持するよう努める)となる。

念は悟りに至るための観想法の事であり五蓋を遮断する観想法、具体的には四念処にあたり、身念処(この身も衰え滅び不浄を含むと観ずる事)、受念処(一切皆苦、一切の受には苦を含むと観ずる事)、心念処(諸行無常、全ての生じたものは絶えず変化し滅すると観ずる事)、法念処(諸法無我、全てのものにその主体となる実体は存在しないと観ずる事)

定は心を散乱させないように精神統一する事、注意集中して瞑想する事。

慧は全ての事物や道理を明らかに見抜く深い智慧の事であり、空や三法印や十二因縁や縁起を理解する事。

【五力】・・・内容は五根と同じで、仏道修行者を悟り、解脱へ至らしめる力の事。

【七菩提分】・・・修行内容の一つであり、悟りの項目を7つにわけたもの。五上分結を知り尽くし捨て去るためのもの。

念覚支(四念処を習得する事)択法覚支(真理である法を習得する事)精進覚支(四正勤を習得する事)喜覚支(喜びに住する事)軽安覚支(心身の束縛が無い事)定覚支(心を散乱させず瞑想を習得する事)捨覚支(執著を捨て去る事)の七つの項目が七菩提分。

そして五上分結を知るうえで三界を知る必要がある。三界というのは仏教的に世界を三つに分けたもので欲界、色界、無色界よりなる。この三界を人間は輪廻し生死を繰り返す。欲界は欲望に囚われた世界で六道輪廻の世界。色界は欲望を離れているが物質的現象に囚われた世界、五蘊、十二処、十八界という三科の世界。無色界は物質的現象を離れ受、想、行、識の四蘊からなる世界、一切皆空の世界。以上で三界となる。

そして五上分結とは欲界と色界に縛り付ける5つの煩悩、束縛の事。色貪(色界に対する執著)、無色貪(無色界に対する執著)、慢(高慢、自惚れ)、掉挙(後悔、遺恨)、無明(根本的無知)の5つの事。

この三界や五上分結はまだまだ掘り下げれるが、今回はやめておく。

【八正道】・・・これは前ブログに掲載した「四諦八正道」の八正道である。正見、正思惟、正語、正業、正精進、正念、正命、正定の事。

浄土においてはこの仏法が囁かれ仏を心にとどめる思いを生じ、法を心に思いとどめる思いを生じ、集いを心に思いとどめる思いを生ずる。つまりは浄土においては全てのものが悟りに至ることになる。

【三明・六神通】・・・神足通(どこまでも思うままに行く力)、天耳通(どんな人の声でも聞き取る力)、他心通(他の者の心を知る力)、宿命通(前世を知る力)、天眼通(来世を知る力)、漏尽通(煩悩が無くなった状態を知る力)

これらのうち宿命通、天眼通、漏尽通が三明である。

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