浄土三部経解説~阿弥陀経~

今回は浄土についてまとめてみようと思う。浄土というのは、「阿弥陀経」「観無量寿経」「大無量寿経」の3つからなる「浄土三部経」を基にしたもので、死後の世界を考え、この世での在り方を正そうという思想である。死後の世界を考えるというのは想像力をもつ人間ならではの習わしだと思う。というのも死というのはこの世界からの完全な消滅であり全ての生きとし生けるものは死を乗り越える事ができない。死は生けるものども全てが為さねばならぬ事であって死んでしまえば土に還るだけである。畜生であれば生き残ったもの達は何も感じないであろうが、人であれば悲しみが残る事も多い。そんな時にただ嘆き悲しむだけでは精神を削り、身はやつれる一方になる。浄土の思想はそんな気持ちに仏教的な折り合いをつけ、清く生きていくための思想といえる。つまり死と向き合う事が浄土論であるといえる。

浄土とは何なのか?なぜ浄土にいく事が救いとなるのか?どうすれば浄土にいけるのか?そもそも浄土三部経とはどんな経なのか?これらをまとめていこうと思う。

【浄土の世界観~阿弥陀経~】

そもそも浄土とはどういったとこなのか?ひとえに浄土といってもいくつもあって、仏のいる仏教的な理想の世界をさしている。東方の阿閦仏がいる妙喜国、上方の弥勒菩薩がいる兜率天などがあり、そして、日本において最もなじみ深いのが西方の阿弥陀如来がいる極楽浄土である。極楽浄土とは端的にいうのであれば苦のない世界である。私たちが生きている世界から西に百万憶の仏国土を過ぎたとこにあるとされており、そして、その極楽浄土の事を記しているのが「阿弥陀経」である。極楽浄土がどういった風景なのかは当時のインドの時代背景と空想が色濃いので現代の日本人である私たちには何ともいえない感じになっているが、重要な事はその浄土ではどんな思想でどんな世界が広がっているのかという事であり、それは現代の私たちにも理解しやすい内容になっている。浄土においては五根、五力、七菩提分、八正道が説かれ、三宝の心が自然に生ずる。そして、この浄土に生まれたならば、修行は完成されているので畜生などの三悪道は存在せず、堕落する事はなく、六道に堕ちる事はない。そして悟りに至っている。つまり解脱している。悟りが充満していて、安らいでいて、苦のない世界、それが浄土であるといえる。

【浄土往生】

浄土に往生するにおいて、まずこの穢土の世界、現世の世界は五濁悪世の世の中であることが背景としてある。この世の中で一夜でも、、七夜でも心を散乱させることなく仏法の事を心の中でよく考えたならば、臨終の時には浄土に生まれる事ができる。そして、この事を理解したのならば死の恐怖に心が転倒する事なく死ぬことができる。そういった事が「阿弥陀経」で説かれている。

【まとめ】

まずは浄土がどういった場所なのかとどうすれば浄土に生まれる事ができるのかが「阿弥陀経」で説かれている。そしてここから「大無量寿経」に続いていく。「大無量寿経」ではなぜ浄土という仏国土が生まれたのか?阿弥陀如来とはどんな仏なのか?という話しに繋がっていく。

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